仙台三題噺「錦町公園」「笹かまぼこ」「化粧水」

どうも!仙台つーしんのバラサです!

突然ですが、今回のタイトルにある「三題噺」って聞いたことありますか?

三題噺とは、与えられた三つの言葉を使って、短い物語を書くというものです。

ある日ふと、仙台にある場所、仙台名物、それともう一つ何かを加えて三題噺をつくってみたら面白いんじゃないかな!と思ったので今回書いてみました!

では、早速ですが読んでもらえると嬉しいです!

 

「錦町公園」「笹かまぼこ」「化粧水」

その時僕は錦町公園でサークルのみんなと花見をしていた。ビールで乾杯をしてから、あっという間に1ケースあったビールはなくなり、めいめいに日本酒やワインを飲み始めていた。誰もが下らない会話で騒ぎ、桜を眺める人なんて誰もいやしなかった。僕はどうしても楽しくお酒を飲む気分にはなれず、一人紙コップに入れた日本酒を飲みながら、サークルの皆とは離れたところでベンチに座り桜を眺めた。

満開を少し過ぎてはしまったけれど、風に舞い散る花びらを眺めながら飲む日本酒はとても美味しかった。楽しい気分でも、嫌な気分でも、桜はいつも綺麗だから良い。このままずっと、綺麗だという感情のままでいたい。僕はそう思い、日本酒を何杯も何杯も飲みながらただ桜を眺め続けた。

四合瓶の日本酒をほとんど飲み終えた頃、ふと近くにいた小学生らしき集団の中に、笹かまぼこを食べている子供がいることに気づいた。大きな口を開けて笹かまぼこにかぶりつく様子を見て、無性に笹かまぼこが食べたくなった。僕はサークルの集団に「ちょっと笹かまぼこ買ってくる」と告げ、アーケードにある蒲鉾屋に向かった。錦町公園のすぐ近くにも蒲鉾屋はあるけれど、酔っぱらっていてよく分からなくなっていたのだと思う。

その日は空に雲一つない良い天気で、5月上旬にしてはかなり暑い1日だった。空を見上げると、太陽の日差しが強く降り注いでいた。僕は、自分がひどく汗をかいているのに気付いた。少し飲みすぎたようだ。僕は自動販売機で水を買い、それを一気に飲み干した。水を飲むといくらか気分は和らいだけど、「これはきっと記憶をなくすやつだ」と思った記憶が微かにある。僕の視界はぼんやりとゆらぎ、僕の歩みはふらふらとしていた。

だからよくは覚えていないのだけれど、僕はふらふらと歩きながら、アーケードの中にある店に入って、目当てのモノを買ったはずだ。それを買ったとき、僕は「ああ、これできっともう大丈夫だ」と思った。その安心感みたいな感情だけは、何故か心の中に強く残っている。

錦町公園に戻ったころには、水を飲んで少し歩いたおかげなのか視界が多少はっきりして、ちゃんと真っ直ぐ歩けるようになっていた。サークルの集団に戻ると、僕が手にビニール袋を提げているのを見た誰かが、「おいシュウ、お前何買ってきたんだよ」と言った(シュウとは僕の名前だ)。僕は、「何って・・・」と言いながら、ビニール袋からそれを取り出した。取り出してみると、それはなんと化粧水だった。

「お前何で化粧水なんて買ってきてんだよ」と、そいつは大きな声を出して笑った。そして周囲に、こいつなんかいきなり化粧水買ってきたんだけどと言うと、他の奴らも大きな声を出して笑った。確かに、考えてみれば僕はさっきドラッグストアに入って化粧水を買った。でも、あれ?僕は笹かまぼこが食べたかったんじゃなかったのか?

「例えばさ、私が『帰りに化粧水買ってきてよ』ってLINEで写メまで送っても、シュウは私が言ったこと忘れて何も買わないで帰ってくるでしょ。些細なことかもしれないけど、そういうところなんだよ」

僕はふいに昨日の彼女の言葉を思い出した。彼女は僕にその言葉を残して、2人の関係の終わりを告げた。僕は茫然とした。その後、彼女が僕の家を出ていくまでに何を話したのかを全く覚えていない。僕は、早く眠りについて頭の中にある感情すべてをなくしたいと思った。けど、なかなか寝付くことができなかった。そしてようやく眠りにつくと、今度は悪夢に襲われた。夢の中で僕は、化粧水を求めてたくさんの店を歩き回った。けれども、何故かどの店にも化粧水は売ってなかった。

家に帰って彼女にそのことを告げると、「シュウが私のことをちゃんと考えてくれないから、お店から化粧水がなくなっちゃったんだよ。もう、私たち別れましょう」と僕に言った。朝起きると、嫌な感情がねっとりと頭の中に残っていた。今日は全てを忘れようと思って酒を飲んでいたのに、なんでよりによってこんなものを買ってしまったんだ。

僕は、化粧水のふたを開けるとそれを手いっぱいに付けて顔に浴びせた。「いや~、やっぱり酔い覚ましには化粧水に限るよね~」と大きな身振りをつけてそう言った。すると、周囲がまたどっと沸いた。「これでまたいくらでも飲めちゃうよ」と僕は言い、また紙コップに日本酒を入れてグイと飲んだ。

ホホを冷たいものが伝うのを感じたけれど、酔っぱらってしまってそれが何なのかよく分からなかった。このまま、色んなことが分からなくなっていけば良い。色んな感情が曖昧になれば良いと思った。

あれから5年が経ったけれど、それも今となっては大切な青春の1ページなのだと思う。

 


 

どうでしたか???

おもしろいと思ってくれたらシリーズ化していこうと思うので、コメント貰えると嬉しいです!

何か書いて欲しいお題もあれば是非教えて下さいね!

 

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