仙台三題噺「泉中央」「牛タン」「サイフ」

どうも!仙台つーしんのバラサです!

先週・今週と月曜朝7時に仙台三題噺をアップすることができませんでしたがようやく書きました。。

皆さんはお盆をいかがお過ごしですか??

お盆休みで帰省してきた中学・高校の同級生と会ったという方も多いんじゃないかと思いますが、今日はそんな話を書いてみました。

「泉中央」「牛タン」「サイフ」

 

今日は二日酔いで一日ベッドの中で過ごしてしまった。気付けばもう夕方の6時である。あんなにたくさんの酒を飲んだのはかなり久しぶりだ。記憶の新しいうちに、この出来事をちゃんと記録しておきたいと思う。

昨日、夕方6時に泉中央のTSUTAYA前(もうないけど)で竹山と待ち合わせをした。久しぶりに会った竹山は、ほとんど変わっていなかった。もちろん、ところどころ歳を取ったなという感じはするけれど、僕は竹山を一目見て、こいつはまだ変わってないんだなと感じた。

竹山は、せっかく久しぶりに仙台に来たんだから牛タンが食べたいと言った。僕と竹山は牛タン屋に入り、牛タンを塩、タレ、味噌味それぞれ1人前ずつとビールを頼んだ。牛タン屋で酒を飲むと言うのは考えてみればそれが初めてのことだった。久しぶりに食べる牛タンはとても旨かったし、なんとなくビールもいつもより旨かった。高校の同級生とこんな風にビールを飲みながら牛タンを食べるなんて、僕も大人になったんだなと思った。

竹山は飲み始めて早々に「実はもうすぐ結婚するんだ」と話し始めた。奥さんとはフットサルを通じて出会ったらしい。年齢は向こうが1つ下で、出身は鳥取県。今は神奈川県でアパートを借りて2人で暮らしている。その話を聞いたとき、僕は3年前遊びに行った竹山の東京のアパートを思い出した。竹山はあの時、「東京は人の住む場所じゃない。なんとかして仙台に帰りたい」と言っていた。あの日はお互いに仕事の愚痴を言い合いながら、スマホで転職サイトを開いて仙台の仕事を探していた。僕は「相手が鳥取の人でお互いに東京で働いてるとなると、もう仙台には帰って来れなさそうだな」と言った。

「そんなん分かんねえよ。まさか自分がこんなにすんなり結婚しちゃうなんて思ってもなかったし、自分がどうなるかなんて分かんねえんじゃねえの?」

竹山は僕にそう言った。そして続けて「俺もそのうち父親になるのかもしんないし、そしたらまた考え方も変わるかもしんないし」と言った。その言葉を聞いた僕は何だか嬉しいような、寂しいような気持になった。TSUTAYA前で竹山を見たとき、僕は竹山が全く変わっていないように思えた。確かに、竹山は変わっていなかった。こうやって一緒に飲んで、かつてと変わらずに話ができる。でも、竹山は変わっていた。変わっていたというよりも、大人になっていたのだと思う。変わることと大人になることがどう違うのかは、うまく説明できないけれど。

せっかく仙台に来たんだからと乾坤一や伯楽星なんかの地酒を飲み、そして牛タンを追加で頼んだ。竹山は「できれば俺も仙台に帰ってきたいとは思ってるんだけどさ。牛タンは旨いし、街中を歩いても人が少なくて丁度良いし」と言った。僕はその言葉を聞いて竹山はきっともう仙台には帰って来ないんだろうと思った。仙台市民はめったに牛タン屋で牛タンを食べないし、街中を歩いて人が少ないなんて思わない。そんな風に思う竹山はもう、トーキョーの人になってしまっているのだ。

それでも、やはり竹山と飲むのは楽しかった。お互い具体的な仕事の話はしなかったけれど、話しぶりからきっと仕事が上手くいっているんだろうことが分かった。以前はお互いに仕事の愚痴ばかり言い合っていたのに、話題はどうやったら仕事で人を巻き込めるかとか、後輩とはどう接したら良いかとかということになっていた。僕も社会人になって丸5年が経ち、ようやく仕事で手ごたえを感じ始めているように、竹山も仕事が楽しくなってきたんだろうと思う。

8時を過ぎると店内が混んできたので外にでることにした。竹山は「もう一軒くらい行こうぜ」と言ったし、もちろん僕もそうしたいと思った。僕らは居酒屋が入ったビルの並んでいるエリアに行き、適当な店に入ってまたビールを飲んだ。案の定僕は飲みすぎてしまい、その店での記憶がほとんどない。何やらとにかく楽しかったという記憶だけは残っている。その店でいったい何時まで飲んでいたかは覚えていないけど、その後僕らは七北田公園に行って散歩をした。そのうちに竹山が財布をどこかに落としてしまったことに気付き、夜の七北田公園で財布を探し回った。その記憶が残っているのは財布を探しているうちに酔いがさめたからだと思う。竹山と一緒に財布を探しているとき、竹山は不意に「俺が仙台に帰って来て連絡とれんのはお前くらいなんだよ」と言った。僕はそれにどう返したのかは覚えていない。でも、その言葉がやけに嬉しかったのは覚えている。結局、竹山のサイフは七北田公園入口の自販機前に落ちていた。僕らはタクシーに乗って家まで帰った。別れ際に竹山は「そのうちまた一緒に飲もうぜ」と言った。僕は「東京行くときは連絡するよ」と返した。

今日は一日中具合が悪くて全く何もできなかったけれど、でもなんだかたまにはこういうのも悪くないなと思った。僕はここ数年、できる限りの人付き合いを断ち、本を読む時間をつくろうとしてきた。真剣に仕事と向き合うためには周囲と距離を置くことが必要だと僕は感じてきたし、実際にそうしてきた。そんな僕を良く思っていない先輩もいるだろうし、そんな風に毎日を過ごすことに寂しさを感じるときもある。でもこんな風に一緒に飲みに行こうと誘ってくれる友達がいるのなら、それで充分なのかもしれない。

会社の人と毎日のように飲み歩くのだって、もしかしたら同じように楽しいのかもしれない。でもそうしたら僕は本を読んで勉強する時間が減ってしまう。勉強する時間が減ってしまえば、僕は胸を張って竹山と会えなくなってしまうだろう。いや、別に竹山に仕事の話をする訳ではないんだけど、それでも勉強することを辞めてしまえば、僕は何となく竹山に会いづらくなると思う。

だから、また今度会う時も胸を張っていられるように、例え人付き合いが悪いと言われようと、寂しい思いをしようと、一生懸命に勉強したいと思う。真剣に仕事と向き合いたいと思う。こいつと友達で良かったと思われるような、ちゃんとした人間になりたいと思う。

 

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は実在のものとは関係ありません。

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